第29章 五色の夜 春日山城編4 【義元】R18
しばらくそのままでいてくれる。
やがて互いの呼吸も鼓動も重なり合っていった時…
ちゅ…
耳に口づけが落とされた。
「っ…!」
ゾクゾクして思わず肩をすくめると、義元さんはそのまま私の耳を責めていく。
柔らかい唇と舌の感触、ふっとかけられた吐息も甘い刺激となって、
「あんっ…」
思わず声が漏れると、その声ごと唇を奪われた。
すぐに舌が口内へと滑りこみ巧みに蹂躙していく。
ずっと髪をすいていた片手は、気づくと私の腰やお尻まで這うように撫でていた。
気持ちいい…
目を閉じ顎をそらし、身をまかせてしまう。
優しくも強制的に、私の身体は解されていった。
それは義元さんに伝わり、
「だいぶ緊張がとけてきたね。そのまま身体を楽にしていて」
悔しいほど余裕があって丁寧な所作で、するすると私の着物を脱がせていった。
部屋の灯りはないけれど、今夜はずっと暗がりの中にいたので完全に目が慣れていて、肌が全てさらされてしまうとたまらなく恥ずかしくなった。
私は思わず義元さんに背を向ける。
「名無しは…」
熱っぽい声で囁かれ、後ろを向いているのに義元さんの視線をジリジリと感じた。
「芸術だね。すべてが美しい。この肩の線なんて…」
ちゅっ…
肩に口づけが落とされ、そのまま後ろからぐいっと抱きすくめられる。
「たまらない」
義元さんの声色の熱がどんどん昂ぶっていき、肩や首に激しく口づけられる。
両胸には長い指が食いこんでいく。
今までの壊れ物を扱うような繊細な触れ方より少しだけ強引で、そこに彼の理性が崩れているのを感じ私の熱も煽られる。
もちろん痛みはなく気遣いは残っていて、快感を与える愛撫だった。
やがて義元さんが着物を脱ぐ衣擦れの音がして、
「名無し、こっちを向いて」
肩を掴まれ振り向かされた。
着物姿の義元さんは線が細く中性的な印象だったけど、脱ぐと全然違う。
満遍なくついた筋肉が盛りあがり、彫刻のような体だった。
「美しいです…。義元さんの存在自体…」
素直に見とれ、そんな言葉が口をついて出ると、
「ありがとう。嬉しいよ」
義元さんは私を抱きしめて、頬を寄せた。