第11章 悪夢が覚めると、
ゆるとレプリカが連れ去られた後、
「う、うわあぁぁぁっ!!」
ゲートが消えた瞬間曇っていた空が晴れ渡る。
そして修の悔しそうな叫び声が響き渡った。
「メガネボーイ!」
「メガネ先輩!」
米屋と夏目が駆け寄ってくる。
「千佳、を頼みます。」
修は絞り出すような声でそう言うと夏目にキューブとなった千佳を手渡す。
同時にプツリと糸が切れるように修は意識を失った。
「メガネ先輩!」
「ヤベーな。血ぃ出すぎだろ。傷だけ縛って基地の医務室に運んじまおう。病院よりそっちの方が早えーや。」
「了解っす!」
2人は互いを見てうんと頷くとすぐに修の傷を縛り、米屋が修をおぶって基地の入口へと駆け出した。
気を失った修の傷に触らないように慎重且つ迅速に医療班に引き渡す。
「……ゆるはどこだ…?」
一向に姿が見えない。
「陽介…!ゆるはどこにいる!」
焦る三輪が駆け寄ってくる。
「俺もネイバーが去ってから見てねえんだよ…。どこ行ったんだ。」
米屋の言葉に
「ネイバーが去ってから……?
………まさか!!!」
三輪が走り出す。
「...おい、待て!!」
米屋が三輪を追いかける。
向かったのは上層部のいる場所だ。
「…現状は?」
中から本部長の声がし、沢村さんの声も聞こえてきた。
「C級隊員32人が行方不明、そして…、
……辻ゆる隊員が人型によって、連れ去られた模様です。」
三輪と米屋は声も掛けずに部屋へ入る。
「…どういう、こと、ですか……。」
「ゆるが、連れ、去られた……?」
二人の声に上層部の人々が振り向く。
「「…三輪!米屋!」」
米屋が聞く。
「ゆるが、連れ去られたって…なんで…。」
本部長は唇を噛み締め、
「生身を刺された三雲隊員とキューブになった雨取隊員を守るため、黒トリガーを使用し、気を失い……、人型の撤退と共に、連れ去られた。」
と答えた。
「あ゙あ゙...あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ!」
三輪は泣き叫んだ。
「…秀次。」
「俺はっ…!また、守れなかったっ…!!姉さんも!ゆるも!
ゆるっ………ゆる!!」