第10章 辻ゆるの決断
倒れるゆるを見てハイレインはミラへと向き直った。
「ミラ、これだけでも連れて帰る。あとは捨て置いていい。」
「…!?し、しかし金の雛鳥は目の前にっ!」
「異論があるのか?」
「っ!?...い、いえ、ありません。」
「……あの金の雛鳥は偽物だ。持ち帰ってもいみがない。」
「!?」
ハイレインは異議をなそうとしたミラに告げた。
「帰還の準備をしろ。」
「…承知しました。」
すぐに遠征艇に戻るとレプリカを押しのけ操作を始めた。
ハイレインはゆるを抱き上げ遠征挺へ向かう。
「隊長!?大変です!本部から帰還命令が実行されています!」
「...そうか。」
ミラの報告に軽く返事をする。
「…ゆる先輩!!」
修がゆるを抱き上げるハイレインに向かって叫ぶ。
その様子を見てハイレインの動きが止まる。
「ハイレイン隊長。時間がありません!」
「今回はこれで去るとしよう。…だが、次はない。この娘は連れていくぞ。」
修へ宣戦布告をし、ハイレイン遠征艇へと乗り込んだ。
そして、大規模侵攻は幕を閉じた。