第10章 辻ゆるの決断
ハイレインは修の手から千佳を奪い取る。
目の前で倒れた修は悔しそうに唇を噛み締めた。
「か…えせ…。千佳を、守るんだ。」
「健闘したな玄界の運び手よ。だが、我々の勝利は確定していた。」
そう言って踵を返し、ミラが事前に開けていたゲートへ入ろうとする。
だが、このまま千佳を渡す訳には行かない。
「まだ動けるのか。」
『当たり、前でしょ…。千佳を、返して。 』
すると、
「ゆる。もうやめろ!俺達はもう十分やっただろ!」
と秀次から無線が入る。
……十分なんて、思ってないくせに。
『ごめんね、秀次。でも、私、みんなを守るよ。』
「ゆる!!」
私は怒りに満ちた目でハイレインを睨んだ。
……最後の一発。
『星月華!!』
すると、ハイレインの周りに弾が浮かぶ。
それは、星のような。花のような。
美しく光輝く光景だった。
「…!!」
『私が…!みんなを守る!
邪魔しないで!!
星月華!!』
私が叫ぶと浮かぶ星は爆発する。
花が舞うようにハイレインに追い討ちの射撃が撃たれる。
『千佳は…渡さない!!』