第5章 遠征部隊の実力
みんなでぼんち揚げを食べながら移動する。
「…まったくお前らは意味不明だな。何あっさり…バリ"風刃"と"星月華"渡してんだよ。ボリッ…勝ち逃げする気か?ボリッボリッ・・・今すぐ取り返せ!それでもっかい勝負しろ!」
「無茶言うね太刀川さん。」
「黒トリガー奪取の指令は解除された…"風刃"や"星月華"を手放す気が…バリ…あったなら最初から…ボリッ…そうすればよかっただろう…ボリッボリッ」
『確かに…バリッ』
「それでだ迅、わざわざ俺たちと戦う必要もなかっただろ。」
「いやあどうかな。昨日の段階じゃ風刃に箔が足りなかったと思うよ。太刀川さんや風間さんたちのおかげでやっと鬼怒田さんたちを動かせたって感じかなぁ。」
「……A級上位の俺たちを派手に蹴散らすことで、風刃の価値を引き上げたということか?」
「ご名答!それがプランB。」
「まったくムカつくやつだ。」
「そうやって風刃や星月華を差し出してまでネイバーをボーダーに入れる目的はなんだ?何を企んでる?」
そう聞かれ、上層部に話した内容を二人に話し始める。
「その玉狛に新しく入った遊真ってのが結構ハードな人生送っててさ。俺ははあいつに楽しい時間を作ってやりたいんだ。」
「ほう…。」
「…ゆるは?」
『私は遊真が悪い奴だと最初から最後まで思えなかった。逆に本当にネイバーか疑いたくなるくらい。』
「……迅の言う楽しい時間…それとボーダー入隊がどう繋がる?何か関係あるのか?」
「もちろんあるさ。俺は太刀川さんたちとバチバチ戦り合ってた頃が最高に楽しかった。ボーダーにはいくらでも遊び相手がいる。きっとあいつも毎日が楽しくなる。あいつは昔のおれに似てるからな。」
最上さんが亡くなってしまったときの自分を懐かしんでいるのか、悠一の目は少し寂しげだった。