第5章 遠征部隊の実力
一方、遠征部隊は……
「5人纏まってるとなかなか殺りきれないな。」
「しかも迅は"風刃"を一発も撃っていない。トリオンを温存する気だ。」
「後手後手だな…。」
「三輪。ゆるは黒トリガー……使うと思うか?」
「……使う可能性は低いと思う。ただ、最近のゆるは前に進もうとしているように見えるから……分かりません。」
「……そうか。」
気まずい空気を風間隊の菊地原士郎が、
「風間さん、こいつら無視して黒トリガー押さえに行っちゃダメなんですか?うちの隊だけでも。」
と遮った。
「玉狛には木崎たちがいる。ここで戦力を分散するのは危険だ。」
『なるほど、了解。』
「三輪、米屋と古寺はまだか?」
「…もうすぐ合流します。」
「出水、俺と風間隊と狙撃手は総攻撃で迅をやる。
三輪隊にはきっとゆると嵐山隊がつく。お前は三輪や米屋と組んでゆると嵐山隊を足止めしろ。」
と慶に命じられ、太刀川隊の出水公平が
「了解。」
と答える。
「……」
「……三輪、気負うなよ。ゆるはまっすぐ来るからな。」
「言われなくても分かってます。たとえゆるでも手を抜ける相手ではありません。」
公平は、慶の指示に従い三輪とその場を離れた。
蒼也は秀次に
「玉狛と忍田派が手を結んだということは、黒トリガー3つと本部隊員の3分の1。戦力の上で完全に上回ったということだ。黒トリガーの奪取はより緊張性を増した。失敗は許されないぞ三輪。」
と言う。
「…分かっています、風間さん。」
そして、再び開戦の幕が上がった。