第5章 遠征部隊の実力
「立派なボーダー隊員だと…!?ふざけるな!近界民を匿ってるだけだろうが!!」
秀次が叫ぶ。
「近界民の入隊を禁止してるルールはない。正式な手続きで入隊した、正真正銘のボーダー隊員だ。誰にも文句は言わせないよ。」
悠一の言葉に
「いや迅、おまえの後輩はまだ正式な隊員じゃないぞ。」
と太刀川が言う。
「!」
「玉狛での入隊手続きが済んでても、正式入隊日を迎えるまでは本部ではボーダー隊員と認めてない。1月8日まではただの野良近界民だ。仕留めるのになんの問題もないな。」
「へえ…。」
お互い一歩も譲ろうとしない会話の中、無駄な争いだと風間が口を開いた。
「城戸司令はどんな手を使ってもその黒トリガーを本部の管理下に置くだろう。大人しく渡したほうがお互いのためだと思うが。……それとも黒トリガーの力を使って本部と戦争でもするつもりか?」
「そっちにも色々あるだろうが、こっちにだって事情がある。あんたたちにとっては単なる黒トリガーだとしても、持ち主本人にしてみれば命より大事な物だ。別に戦争するつもりはないが、大人しく渡すわけにはいかないな。」
「あくまで抵抗を選ぶか…。当然知ってるだろうが、遠征部隊に選ばれるのは黒トリガーに対抗出来ると判断された部隊だけだ。他の相手ならともかく、俺たち相手におまえ一人で勝てるつもりか?」
「そこまで自惚れてないよ。皆の強さはよく知ってる。おれが黒トリガーを使ったとしてもいいとこ五分だろ。まあ、”俺一人だったら”の話だけど。」
「なに…!?」
ダンッ
「!!」
音がした方へ目をを向けると赤い隊服に身を包んだ3人がいる。
「嵐山隊現着した。忍田本部長の命により、玉狛支部に加勢する!」
「嵐山…!」
「嵐山隊…!?」
「本部長派と手を組んだのか!」
「遅くなったな迅。」
A級5位 嵐山隊隊長の嵐山准が言う。
「いいタイミングだ嵐山、助かる。」
「三雲くんのためと聞いたからな。彼には大きな借りがある。」
「木虎もメガネくんのために?」
「命令だからです。」
同じく嵐山隊の万能手の木虎藍が答える。
「さぁて。嵐山たちがいればはっきりいってこっちが勝つよ。俺のサイドエフェクトがそう言ってる。」