第5章 遠征部隊の実力
暗くなった市街地内に複数もの足音が密かに響き渡る。
気配を消すためにバッグワームを身に纏った遠征部隊と三輪隊は目的の場所へと急ぐ。
「おいおい三輪、もっとゆっくり走ってくれよ。疲れちゃうぜ。」
「……」
「目標地点まで残り500。」
「!!止まれ!」
太刀川の合図とともに全員がその場に立ち止まる。
「迅!!」
「なるほど、そう来るか。」
「太刀川さん久しぶり。みんなお揃いでどちらまで?」
道を塞ぐように立っていたのは笑みを浮かべた悠一。
「…こんな所で待ち構えてたってことは、俺たちの目的もわかってるわけだな。」
「うちの隊員にちょっかい出しに来たんだろ?最近うちの後輩たちは、かなりいい感じだから邪魔しないでほしいんだけど。」
「そりゃ無理だ…と言ったら?」
「その場合は仕方ない。実力派エリートとしてかわいい後輩を守んなきゃいけないな。」
その言葉に身構える俺と余裕な表情の太刀川。
すると風間が口を開く。
「模擬戦を除くボーダー隊員同士の戦闘を固く禁ずる……隊務規定違反で厳罰を受ける覚悟はあるんだろうな?」
「それを言うならうちの後輩だって立派なボーダー隊員だよ。あんたらがやろうとしていることもルール違反だろ、風間さん。」
「…!」