第3章 それぞれの思い
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その後、医者から告げられたのは
家族、秀次のお姉さんの死、
そして、私の片目がネイバーの攻撃によって失明したこと。
隣にいた秀次は唇を噛み締めていた。
大規模侵攻はボーダーの活躍によって終結した。
退院してから私は引きこもった。
毎日秀次が家に来てくれた。
でも、私はドアを開けなかった。
引きこもり始めてしばらくしてからドア越しに秀次が
「ゆる………?」
と声をかけてきた。
私は返事をしなかった。
あのときの家族の姿、
そして秀次の泣く姿を思い出すだけでつらかったから。
それでも秀次は続けた。
「ゆる守れなくてごめん。俺のせいでゆるが片目を失明した。本当にごめん。謝っても許してくれるなんて思ってない。だから、今度は絶対守れるようにしたいから、俺…………ボーダーに入る。入ってゆるを守るから。」
そのとき私は自分をみじめだと思った。
秀次は前に進もうとしているのに、私の方がお姉ちゃんじゃないといけないのに。
そう思った。
だから、ドアを開けた。
秀次が驚いている。
私は伝えた。
『目は秀次のせいじゃない。私が逃げれなかったの。だから、私も……ボーダー入る。自分のことも秀次のことも守れるようになりたい。秀次と一緒に……頑張りたい。』
これが秀次がネイバーが嫌いな理由。
そして、私達がボーダーを目指した理由だ。