強くて、脆くて、可愛くて【東リべ夢】〘佐野万次郎夢〙
第2章 嫉妬、そして……独占欲
万次郎は毎回恥ずかしげもなく、そんな言葉を口にする。
「はぁ……キスだけじゃ、足んなくなる……」
「ま……ンっ……ふぁ……」
いつの間にか主導権は、また万次郎へと移った。
激しさを増したキスに、体が熱くて、何も考えられなくなる。
万次郎の手が、制服の上から胸に触れる。
「んんっ! んっ、ゃ、ぁ……」
やわやわと揉まれると不思議な感覚がして、目を開けると万次郎の熱い視線とぶつかる。
「な、何して……」
「んー? ちょっと我慢出来なくなったから、触ってる」
「そ、そのっ……ここ、外、だからっ……」
「外じゃなかったら、いいの?」
獣が獲物を狙うような顔が目に入り、ゾクリとする。
こちらを射るように見つめたまま、万次郎が私の指を銜えた。
指に舌が這い、ゾワゾワする感覚に震える体。
「に、もっと触りたい……駄目?」
万次郎のその懇願するような甘美な誘いに、体の芯が熱くなって、無意識に頷いていた。
帰国してから同居している伯母さんに連絡を入れて、私はその日初めて嘘を吐いた。
「俺んちは、じいちゃんも兄貴もエマもいるし……ドラケン家は……うーん……どうすっか……」
コンビニから出てきた万次郎が、こちらを見て名案を思いついたみたいな顔で、無邪気に笑う。
そんな子供みたいに愛らしい笑顔の万次郎の口から、まさかの言葉が出る。
「ホテルは……さすがにこの格好じゃ無理か……」
「ホテっ!?」
まさか、この歳にしてホテルなんて物を利用するなんて、想像すらしていなくて、そんな考えが万次郎の口から出るなんて、予想外な事がありすぎて、パニックだ。
「さ、さすがに、お金だってそんなにないし、ほら、私達まだ高校生だしっ!」
「とりあえず俺ん家行ってから考えっか」
私にヘルメットを被せて笑い、万次郎はバイクに跨る。
後ろに乗ると、ゆっくりバイクが走り出す。
万次郎の家に向かう間も、心臓はずっと高鳴りっぱなしで、落ち着かない。
こんな戸惑いばかりの中で、私は一体どうなってしまうんだろうか。
頭でグルグル解決しない自問自答を繰り返していると、いつの間にか佐野家に着いてしまったようだ。
万次郎に手を借りて、バイクから降りた。