強くて、脆くて、可愛くて【東リべ夢】〘佐野万次郎夢〙
第2章 嫉妬、そして……独占欲
佐野君の姿を見て、男子生徒達が去って行く。
こういうのを見ると、やっぱり佐野君は凄い人なんだと改めて感じた。
「よし、おいで」
降ろされた後、座り込んだ佐野君の膝に、跨るように座らされて、腰の後ろで佐野君が手を組んで、固定されたみたいに動けなくなる。
「せっかく話ししてたの、邪魔してよかったのかな……」
「しらね」
「もう……佐野君、そういうのダメだよ」
「……怒った?」
私の胸の辺りに顎を置く体勢で抱きついて、上目遣いにこちらを見る。
こういう事を自然に出来る佐野君は、天性の人タラシなんだと思う。
「怒ってはないけど、少しは気にして欲しいかな」
髪を撫でると、佐野君が気持ちよさそうに目を細める。
「そういえば、佐野君どうしてここに?」
「会いに来ちゃいけねぇの?」
「わざわざ、私に会いに来たの?」
私を探してくれていたのが、素直に嬉しい。
「今日は弟達いいのか?」
「うん、お父さんが珍しく休みだから、ゆっくりさせてもらってるんだ」
「じゃ、いっぱいイチャイチャ出来る?」
「ふふ、うん。あ、でも、約束して欲しい事があるの」
私は、佐野君の周りを気にしないスタンスを危惧して、先に注意事項を作る事にする。
佐野君には、少し弟達に通づる所があるから。
「あまり人前で……その……ハードなのは恥ずかしいので、ダメです」
「出来るだけ……頑張る……」
「うん。お願いします」
出来るだけという言葉にはいまだに引っかかるけど、分かってもらえたと思いたい。
「んじゃ、今はいいよな?」
「ひ、控え目にお願っ……っ……」
キスをされたと思ったら、お尻の辺りに違和感がある。
もがきながら、体をよじる。
「んっ、さのっ、ンっ、ちょっ……」
「静かにしないと、誰かに見られるかもよ?」
明らかに楽しんでいる表情で、私の唇を甘噛みしながら佐野君が目を細める。
普段の無邪気な彼からは、全く想像出来ないような雰囲気が醸し出される。
この顔は、私だけが知っている、特別。
佐野君が、キスをしながらお尻にある手を動かしてくる。妙に優しい手で触るから、くすぐったくて、何とも言えない気分になる。
「佐野君っ、ンっ、手、がっ……」
「手が、何?」
「くすぐったぃ……」