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強くて、脆くて、可愛くて【東リべ夢】〘佐野万次郎夢〙

第2章 嫉妬、そして……独占欲




佐野君と二人になった屋上は静かだ。

「大丈夫か?」

「あ、うん、ありがとう。また、助けられちゃったね」

佐野君の顔を見て私は謝ろうとしたけど、佐野君が背を向けて壁側に移動してしゃがみ込んだ。

私は佐野君の前にしゃがむ。

「佐野君、さっきはごめんね、廊下で冷たい事言って」

「……いーよ。あれは邪魔した俺が悪いし。ケンチンにも、怒られたし……」

龍宮寺君に怒られている佐野君を想像して、笑ってしまう。

「何で笑ってんだよっ……」

「ふふっ、ごめんね。怒られてる佐野君想像したら、何か可愛いなって」

拗ねたみたいな顔で抗議する佐野君に、また笑う。

そんな私の手を取った佐野君が、真っ直ぐ見つめて来る。

一瞬で、心臓がうるさく波打つ。

「の方が、可愛いじゃん」

「か、可愛くなんてっ……」

「可愛い」

真剣な顔で掴んだままの手首を引かれて、座り込んだ佐野君の開かれた脚の間に、横向きで座らされる。

まさかの体勢に、口をパクパクさせて佐野君を見るしか出来ない。

顔が熱くて、心臓が壊れそうだ。

「さ、さささっ、佐野君っ!?」

「はさ、どうやったら俺のになってくれる?」

「……ふぇ?」

つい変な声を出してしまった。

からかいや、冗談で言っているようには見えない。

「俺、が欲しい」

これは、私が想像した意味で合っているのだろうか。

「が他の奴に盗られんの、ヤダ」

腕の中に閉じ込めるみたいに、佐野君に抱きすくめられてしまう。

玩具を誰かに渡すのを嫌がる子供みたいで、また可愛く思えてしまう。

「佐野君、それってどういう意味?」

この質問の答えはかなり重要で、私の求める答えが出るか出ないかで、今後のモチベーションが変わってしまうレベルだ。

なのに、佐野君は間髪入れずに口を開く。

「好きだ。俺のもんになれ」

「さのっ……ンっ……」

答える前に、唇が塞がれた。

ファーストキス。

少し触れて離れ、また触れる。

ちゅっちゅっと何度も鳴る小さな音に、段々恥ずかしさが限界を超えて、佐野君の体を押して上半身だけ離した。

なのに、また引き寄せられて顔が近づく。


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