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海の男たちに愛される話。

第1章 片思いの彼に好きと言ってみた。



「聞こえんのか?」

私が泣きそうなのを気づかれまいと
話を変えて立ち上がると
すぐにサカズキさんは私に座れと言う。

「なにか言うことがあるんじゃろ。」
「え、えー?可愛い部下に優しくしてください、ですかぁ?」

いつもなら目の前に座らせるのに、
どうしてこんな時に限って彼は真横に座らせるのか。
好きという気持ちと変な緊張で顔が見れない。

「...今だけじゃ。」
「え?」

その言葉がどういう意味か分からなくて
思わずサカズキさんのほうを見てしまう。

「......今は休憩中じゃ。
仕事に関係ないことを言うても誰も文句は言やぁせん。」
「サ、カズキさん、?」
「なんじゃ。」

ムッとした顔だけれど、私にはわかる。
いつもより柔らかい雰囲気で私を見てくれている。
何もできない、こんな私に優しい声で聞いてくれる。
ぶっきらぼうに聞こえてもちゃんとあなたは
私の話を聞こうとしてくれる。
そんなところが私は

「好き、です。」
「ほぅ。」
「ほぅ、って。」

大好きなんです。
私はどんなに頑張っても年下で
どんなに大人を演じてもそれはやはり演じてるだけで、
子供のまんまだから。
私がサカズキさんを好きなんて言ったら
サカズキさんが周りからなんて言われるのか、
そんなことしか考えていない。

「サカズキさん、この時間だけ私はサカズキさんに気持ちを伝えていいですか。」
「....。」
「っ、私っ、サカズキさんのことがッずっとッ
「何度も言わんでもわかっちょる。」」
「今だけですからっ、今日だけ、」

そう、言いたいんでしょう?
今だけ全部聞いてくれるんでしょう?
だから止めないで。

「好きとは言うくせにわしのことはわかっちょらんのぅ。」
「ぇ?」
「上司に全部言わせる部下はいらんが、
.....貴様なら、セイリアなら、わしの休憩時間をくれてやる。」

あぁもう。言いすぎなようで言葉足らず。

「どう足掻いてもわしは先に死ぬ。」
「はい。」
「ずっと構ってやれるわけでもない。」
「はいっ。」
「ほしい言葉もくれてやれん。」
「伝わってますから。」

なんだ、私より彼の方が周りを気にしてるんじゃないか。

「好きです、サカズキさん。」
「...もう休憩は終わりじゃ。」
「はい、またあとで伝えますね!!!」

「すきにせぇ。」


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