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海の男たちに愛される話。

第1章 片思いの彼に好きと言ってみた。



〜サカズキ(赤犬)の場合〜

「あーもーだめだ!頭が働かない!」
「さっきからなんじゃ。うるさいのぅ。」

目の前の書類の山が終わりそうにもなく
考えることも多くて頭が働かない。
一つのことしかできない出来損ないの少将がこの私です。

「サカズキさーん。」
「泣き真似をするな、うっとうしぃ。」
「可愛い部下に言う言葉がそれですか。」

まぁ?私は可愛げはないだろう。
そりゃこれでも少将だからプライドもってないと
男所帯の海軍じゃのまれちゃう。

「可愛いじゃと?よく言うのぅ、わしの下につくために
片っ端から海兵を殴り倒しとったやつが。」

おっしゃる通り、
私はこのかたっくるしい正義おじさんの下につくために
一般人のくせしてそこらへんの海兵をぶっとばした。

「それに貴様ぐらいじゃわしを大将赤犬と呼ばん下のもんは。」
「貴様とか口悪いです。
...私はサカズキさんって呼びたいんですー。」

なんで赤犬の下がいいんだ、なんて何千回も言われてきた。
ここにくるついさっきも大将青雉さんに俺のとこにおいでって
言われたし...。

「人の顔を見ちょる時間があるなら手を動かさんかい。」
「いでっ、か弱い女の子に手をあげましたね!」
「ふっ、女の子?歳だけはァ一丁前にとりやがったのぅ。」
「ッ、」

これなのよ、これ。
ずっと仏頂面で誰も寄せ付けないこの人は
ごくたまにこうやって笑う。
コビーくん達に言っても彼らは信じてくれない。

「そりゃあもう32歳ですもん。」
「たいして変わっちょらんの。」

私だってあなたに近づきたい。
だけど当たり前に私が歳をとればあなたも歳をとる。
どうして私はもっと早くこの世に生まれなかったんだろう、
出会ってからは悔しくて悲しくて
考えれば考えるほど涙が出そうで。

「...どうして私はサカズキさんと歳が離れてるんでしょう。」
「なんじゃ急に。」

私の気持ちはあなたには届かない。
届けようとも思えない。
あなたを困らせたくもないから。

「っ、なんでもないです。」

あぁ泣きそうだ。
笑え。笑うんだ私。

「そ、そうだサカズキさん!」
「座れ。」
「え?」


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