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海の男たちに愛される話。

第1章 片思いの彼に好きと言ってみた。



〜クロコダイルの場合〜

「クロコダイル〜!!!」
「チッ、またうるせェやつが来やがった。」

あ、今絶対なんか文句言ったな?
あんたの後ろ姿でわかるんだからな?

「また私を置いて行こうとしたでしょ!」
「んなうるせェ馬鹿を置いて行こうが問題ねェな。」

このくそワニ。

「あ?なんか言いたげだなァ?」
「私がいなかったらいなかったで寂しがるくせに!」
「ハンッ、自惚れるなよガキ。」

たしかにクロコダイルからすれば
28の私なんかガキかもしれないけど
私だってもう大人だし。
好きな男にあしらわれてるまんまじゃ
私自身が許せない。

「私のこと嫌いなの!?」
「あ?」

好きだって言えたらどんだけいいか。
いつもいつも彼の後を追いかけて
強がってちゃかして素直になんてなれやしない。

「嫌いだから私を子供扱いするんでしょ!」
「何言ってやがんだお前。」

めずらしく驚いた顔をしてるけど
私だってこんな捻くれた素直さにびっくりだよ。

「...だって、クロコダイルはッ」

いつだって立ち止まってくれないじゃん。
私がなんど呼び止めようと
クロコダイルは悪態をつきながら
目の前を歩き続けて止まってくれない。

「...ほぅ?」
「へ?」

すぐそばで聞こえたクロコダイルの声に
私は顔を上げて目を見開く。

だって目の前に、
立ち止まった上にもどってきた彼がいるんだから。

「クロコダイル?」
「さっきから聞いてっと、
おれのことが好きだと言ってるみてェだが?」

そう言い彼は義手のフックで私の顎を撫でる。

「そ、そんなこと!」
「あ?どうだってんだァ?」

なぁ、と見下ろして次の瞬間には
右手を砂に変えて私を包み込む。

「セリア、おれが好きか。」
「ッ」

ずるい。ずるいよこの男は。
普段はお前、貴様、てめぇ、としか呼ばないのに、
こんなときに私の名前をそんな優しく呼ぶなんて。

「..クロコダイルのこと、...好きッ」
「ッ!」

私は顔を見てられなくて
彼の首に手を回して顔を埋めた。

「フッ、かわいいことすんじゃねェか。」
「な、か、かわいい!?」
「あ?お前はかわいいだろ。」

え?なに?私は夢を見てるの?

「お前があまりにも素直じゃねェんでなァ?」
「....でも!クロコダイルは?
私のことどう「好きに決まってんだろうが。」」

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