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海の男たちに愛される話。

第1章 片思いの彼に好きと言ってみた。



〜クザン(青雉)の場合〜

「クザンさん!!」

どうして振り向いてくれないの。
大将サカズキに負けたからって退役することあるの?

「クザンさん!待って!」
「...どうしたのセリアちゃん。」

普段通りのつもりですか?
どうして私になにも言わずに行くんですか?
たくさん言いたいことがあるのに
なにから言うべきか、何を言えば彼は行かないでくれるのか。

「本当にやめるんですか。」
「所属しねェから見えてくるもんもあるってもんよ。」

そう言い私の頭に手を置いて優しく撫でる。
でも私はそこじゃないんだ。
彼の手を掴んできゅっと握る。

「どうして私を置いてくんですかッ」
「っ、やめてくれよおじさんをいじめるのは。」
「クザンさんは気づいてたでしょう?私の気持ち。」

あなただって私を大事にしてくれていたのもわかってるんです。

「私を好きでいてくれて大事にしてくれてるのも
わかってたんですよ?
だけど私はきっとめりはりをつけれなくなる。
そうしてクザンさんに迷惑をかけたくないから我慢してッ」
「大事だから置いてくんでしょうよ。」

こうやって私を抱きしめるくせに
私を好きだとは言ってくれない。
抱きしめる腕は震えているくせに
私を好きだとは認めない。

「私を好きだと言ってください。」
「何言って「言ってくれたらクザンさんを諦めます。」」
「...むごいことするね。
おれはセリアが好きだ。」

そう言ってクザンさんは腕の力を少し強くした。

「ありがとうございます。」
「うん。」

少し力が緩まったのに気づいて
私はクザンさんの腕から解放されて

「なーんてね、嘘ですよ?」

と、兵服を脱ぎ捨てる。

「え?は?なにしてんの?!」
「私実はもうやめてきてるんですよ。」
「ばっか!今すぐ取り消してッ「嫌。」」

私が顔を膨らませてクザンさんの腕をつかむ。

「もうあなたの部下ではないから命令も聞けませんからね。
私はクザンさんが好き。
ねぇクザンさん、私を大事にしないで。
あなたの思うがままにしてください。」
「..なんで君ってのはいつも。」

なんてため息をついて私を抱える。

「私のこと、好きですよね?」
「はは、ほんっとセリアちゃんは。
好きだよ。愛してる。」
「ふふ、知ってます。私の方が愛してます。」


「それはどうだろうな。」

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