第1章 片思いの彼に好きと言ってみた。
〜カクの場合〜
「だから!カクがいつまでもそうやって
めそめそめそめそやってるから、
私もついでにルッチに睨まれるんだって!」
「わしめそめそしてないし!
キリンも気に入っとるし!」
強がってるだけだろが!
負けて気を失ったと聞いて
別の任務から急いで帰ってきた私は
ちょうど会ったブルーノと助け出して
春の島、セントポプラにきている。
「そもそもあんた見つけた時
あんなにスッキリした顔で気失ってさ!
思わず死んだかと思ったでしょ!」
「そんなこと言うとるが
なにふり構わずわしの頭を叩いて起こしたじゃろ!」
「あーもーうるさい!
ルッチもボロボロだしっ、なに、してんのよッ!!」
どうして私だけ違う任務になっちゃったんだろう。
私は彼らみたいに冷酷でも人殺しにもなれないが故に
任務を外されてるんだとは思うけど
CP9のメンバーだって自覚もしてるし
大切にだって思ってるんだ。
だからこそ悔しいしカクたちの戦いを見たかった。
「泣かんでよかろう!」
「...あんまり騒ぐな。」
「ルッチ!気がついた!?」
「あ!わしから逃げた!」
ほんっとうるさいな!
「カクのことが一番心配に決まってんでしょ!?
あとで盛大に告白してやるから
大人しく待ってなさい!!!」
ルッチの方が重症なんだもん。
できるだけ悪くならないようにしてあげないと。
「な!?どういうことじゃ!
告白ってなんじゃ!?わしのほうを見ろ!」
任務ってなれば人が変わったように
クソ真面目なくせに気が抜けたらこれなんだから。
「ダァーーーもう!
好きだって言ってんの!!!!
わかった!?わかったなら静かにして!」
「っ!?!」
そこから彼は寝転んだままずっと大人しく待っていて、
ルッチの応急手当てを終えた私は彼の元へ行き
彼の頭を軽く持ち上げてお姉さん座りをした膝を
枕にしてあげる。
「お、やっと来たかセリア!」
「ったくもう、カクだって傷だらけなのに嬉しそうにして。」
「わしのこと好きなんじゃろ?」
「ばか...だったらなんなのよ。」
「ならわしは嬉しくなるんじゃ!」
そう言って彼は笑って私の頬に手を伸ばし
静かに流れる私の涙に触れた。
「心配かけて悪かったのう。」
「ほんとだよ、カクの馬鹿。」
「ははは、久しぶりにセリアの泣き顔見たわい!
...わしも好きじゃ。」
