第7章 街の日常
サイモンと別れて後ろを見るとまだ手を振っていた。
帝人「今の人も知り合い?」
正臣「あー、サイモンっつってさ、ロシア系の黒人でロシア人がやってる寿司屋の客引きやってる」
ロシア系の黒人ね・・・
帝人(ロシア系の黒人?)
帝人「御免、どこから突っ込むべき?」
正臣「いや、マジだって。本当はサーミャってんだけどよ、みんな英語読みでサイモンって呼んでるんだ。どういう経緯かは知んねぇけど、両親がアメリカから亡命したとかなんとか。んで、知り合いのロシア人が寿司屋を始めたからそこで客引きやってるんだと」
『へぇー』
正臣「あいつは敵に回しちゃいけないからな。あいつが前にケンカを止めた時、おんなじぐらいの体格の奴を片手で一人ずつ持ち上げてたし、噂じゃ電柱を折った事もあるとか何とか」
帝人「凄いね」
正臣「ん、何が?」
帝人「いや、紀田くんって色んな人と話せるんだなぁって思って・・・」
すると正臣くんは冗談だと受け取って、ケラケラ笑いながら、他人事のようにあくびを漏らす。
正臣「おだてても何も奢らねぇぞ」
帝人「お世辞じゃないよ。本当に思ったから。」