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二人の航海者

第5章 秘密の会


「昼間龍水ちゃんが暴れたやつね…?あの時も確か蒼音ちゃんがクッキーあげるだけで金銭発生しかけたよね」ゲンが遠い目をした。

「人の善意すらも、もはやお金に変える奴だぞ龍水は」
クッキーを食べながら半泣きの蒼音。どんまい、と羽京とゲンが慰める。

「私が何度『人の心に値段なぞつけるな無粋だぞ』とたしなめた事か……」
うっうっ……と正論を言いつつ半泣きの蒼音。もはややってる事が親代わりである。

「他にも龍水君はお小遣いで無茶苦茶してたから上の人に怒られるんだよ、うちの知り合いの会社で勉強しろ!!って経営者の力付けて、頑張って自由に生きれる様に支援したら」
「まさかそれで油田の権利や通貨にまで辿り着いた感じかな?」
羽京の指摘にこくん、と頷く蒼音。

「あーー……まあ依頼来ちゃったのは仕方が無いとして…。現状だと、確かに龍水ちゃんのドラゴ溜め込みを防げる打開策の中で間違いなくいちばん強いカードよね、蒼音ちゃんが」
ゲンが慰めつつ、とにかく打開策を練ろうとする。

「そうそれ~。多分私の歌とかを売るんじゃない?レコードとか、あとなんか特別なライブとか」
机に顎を乗せて呟く蒼音に、羽京が少し考え込む。

「音楽は詳しくないけど、ライブを司帝国ではやってたよね。夕食の後にリクエスト付きで。それの延長線上とかかな」
「基本はそうかな。今夜の晩のライブも龍水君が無報酬で貴様の歌を聞かすな!俺一人だけ聴いてなかったんだぞ!!ずるい!!独り占めしたい!!って駄々こねてたし」

「……あっれーーー!俺いいこと思いついちゃった~~!!」

ゲンがニヤリと笑う。完全に顔があくどい商人のそれだ。ゲンの言う『いいこと』はろくでもない事でもある。青ざめる蒼音に対して、羽京はえっと、どんまい……?とポンと肩に手を置いた。イヤな予感がした蒼音と羽京はゴクリ、と息を飲む。

「龍水ちゃんに特別プレゼント★なんとなんとーー……!!」
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