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二人の航海者

第11章 【番外編】向日葵の君へ


「龍水用の《福利厚生》だ。今回の対決で君は船員の負担を危惧していたが、最も負担がかかるのは間違いなく龍水だろう?ここには帆船の経験者はおろか、普通の船の航海士や機関士といった専門家も居ない。カジノとバーは他の皆への福利厚生だからね、私からはこれだ。君は毎日私と添い寝して目覚めのキスをされたまえ」

 蒼音なりの、龍水を気遣ったサプライズプレゼントだ。矢張り蒼音は外側はほろ苦くて素っ気なくて冷たいが……その内側は、龍水にだけ特別扱いをして、甘ったるくて優しい。そして瞼へのキスの意味は。

【憧憬】。
 心が奪われうっとりと思い浮かべる事。派生して、思い焦がれる様を表す。瞼へのキスは、それだけ相手の事しか目に映っておらず一途に思う気持ちを示す。3700年間龍水を想い、ずっと起き続けてきた蒼音にぴったりのキスだ。

「……!!はっはーーーーー!!してやられたぞ、これは!流石は俺の嫁だ。その程度の願い、叶えてやろう!!」
 軍師の手に良い意味で《してやられた》龍水の指鳴らしがバッシ、バッシィィイン!と船上に響く。もちろん軍師として、航海の肝である船長の士気を上げる意味もあるのだろうが……
 
「ホントにこういう所しっかりしてるよね〜、蒼音ちゃんは。ジーマーで抑えとかなきゃいけないポイント大事にしてるんだから」
「あはは、それはそうかも。ポーカー勝負で何方に着くとか以前に、蒼音は龍水の味方だよね」

 ゲンや羽京の言うように、蒼音は結局何処までも龍水に着いていく【お嫁さん】なのだ。初めて二人で挑む航海に胸を膨らませつつ、今日も彼等は歩み続ける。3700年の時を超えて得られた幸福と、これからも続く未来へと期待を胸に。

 二人は今日もまた、新たな一歩を踏み出した。

ーFinー
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