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二人の航海者

第5章 秘密の会


「でも蒼音ちゃん、ガチ惚れされてるけど旧世界でも大変だったんじゃないの~?なんかこう……お小遣いが億単位だから蒼音ちゃんの家の近くに住んだり」

「ピンポーン!!ゲン君なかなか良い所をついてるねー」
「えっ」
まさかの冗談のつもりが当ててしまったゲンと羽京が絶句する。そこまで欲しいのか??

「ざっくり龍水君が契約許嫁になった後した事を並べると——
勝手に私の学校に転校して同じクラスに転入!学校で付き纏い挙句お前と過ごす時間が欲しいと【俺の嫁】連呼されて周囲と話せなくなったぁ!その日の帰り道に学校の近くに買った、丸ごと買い切りのマンションに連行★
フロア違いで何故か同居させられる~~
学校はいつも一緒だし授業中に勝手にサボる!って言ってゲーセンにGO……などなどエトセトラ……」

「まだあるの!?」
二人で驚愕する。やる事のスケールが流石お金持ち、というより流石龍水か。これは確かに気持ちを受け入れるのも応えるのも苦労する。

「予想以上にベタ惚れしてんのね?しかも斜め上の方向に」ゲンが汗をかく。
「なんかもう突き抜け過ぎてて怖いね」
羽京に蒼音がでしょー怖すぎでしょ?と同調する。

「流石にぶっ飛び過ぎててずーーっと許嫁なってからかれこれ八年間は放置してたけど…まあ本気なのも分かるし、尊敬してる部分はあるしね。私に無いものもある。私の家と違うし……彼は自由なんだ。清々しいくらいにね」

そう切々と語る蒼音。本来は出さない本性。彼女なりに、苦労もしつつ大事にしてる存在なのだろう。だからこそ、このタイミングでわざわざ千空に進言して龍水を復活させた。蒼音を二人があたたかい眼差しで見守ると、あっ、と彼女がひとつ思い出した様に言う。

「やばいな。忘れてたけど、千空君の依頼で『龍水君にドラゴ貢がせる為の策を練れ』って言われてたんだった」
「あはは、もうすっかり龍水の気持ちを利用する気だね?」

羽京はドン引きである。恋愛経験の無い男所帯出身の彼からしたら縁遠い話だが……蒼音のひたむきで純粋な愛情を知っていると、なかなかに酷な依頼である。龍水も思いっきり変な方角に走ってはいるが、少なくとも蒼音がいちばん大事で好きなのは昼間の様子で痛々しい程に伝わって来たので尚更だ。
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