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二人の航海者

第5章 秘密の会


「そう云うのも含めて龍水が世界を船で旅する準備をする、って契約だったからね~」

「ドイヒー過ぎない!?蒼音ちゃんは対価で歌手活動の援助してもらうんだっけ。でも蒼音ちゃんの家ならそれくらいいけるんじゃない?良いとこじゃない、六道院って。誰でも何処かで聞く名家だし」

ゲンの言う通り、蒼音の属する【六道院家】はもはや家の名前自体がブランドの様なものだ。知将の先祖。それに劣らぬ数々の頭脳明晰な人材を政界や経営者、起業家や様々な会社の重鎮などを輩出してきた。家ももちろんお金持ちだが。

「私は『先祖返り』ってお見合いした十歳時点で言われてたから、歌の道に行きたくても家が反対したんだ。頭がいいのに勿体ねーってさ」
少し寂しげに言う蒼音に、なるほど、と二人が頷く。

「あはは、僕も家の縛りはあったから…気持ちは分かる気がするな。息苦しいというか」
「羽京ちゃん家も大富豪だもんね~。あれ、俺だけ違う……!?」
ハッ!!と気付いた顔をするゲンに蒼音が吹き出す。

「いいや、ゲン君だってお金持ちの分類だろう?君は自分の手で道を切り開いてるけどね」
そう言いながら凛々しい顔つきをする蒼音に、あー、うん。とゲンが納得している。

「蒼音ちゃん、謎に男前というか。男より漢って感じがするよね~。言葉遣いもだけど!龍水ちゃんも蒼音ちゃんが迎えに行ってるし王子様よね~。まあ釣り合い取れて契約したのはいいけどさ。俺が見た限り、龍水ちゃんは龍水ちゃんなりに蒼音ちゃんにガチ惚れしてる様なんだけど〜。蒼音ちゃんの気持ちは?」

直球で投げるゲン。これもゲン家会ならではの、ぶっちゃけトークである。

「気持ち、か。まあ長い付き合いだからね。こっちは3700年ずっと起きて待ってたんだ。今日も普通に了承すれば良いのに、いつもみたいに何にも知らないフリして、ちょっと無理難題吹っかけちゃった。あれくらいの試練を作っても、龍水ならきっと出来るだろうし、許されるかなってやっちゃった」

少し目を伏せて寂しげに呟く蒼音。まさかの両想いである。しかも3700年ずっと待ってた?
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