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二人の航海者

第5章 秘密の会


 蒼音は基本、地の口調が荒く独特だ。その絶世の美少女と言われる美貌を掻き消す程に。旧世界の歌手活動時も割とそれを出している。キャラをどう見ても作っておらず、そのギャップもまた人気の所以のひとつでもある。バラエティーにも出てるのでゲンとも旧世界で知り合いなのだ。が、ここまで露骨には普段は出さない。それが『ゲン家会』がある所以である。

「でもいいの?本人はめちゃくちゃやる気になってたけど、あんなの言って」羽京が尋ねる。

「大丈夫だよ。元から契約許嫁であと一歩でガシィ!確保ォ!はい結婚式!って所だったんだから」
蒼音がくるみとどんぐりの手作りクッキーを食べる。彼女お手製で、ゲン家会の定番のお供である。

「でもその契約結婚する時も、多分お見合いとかしたんだよね?二人とも良いとこのお家でしょ~?」
ゲンが馴れ初めを訊く。

「まあね。簡単に云えば、ぶち壊す気満々で行ったお見合いで、何故かこの素の私の方を気に入られて、その時から波乱の日々が」
死んだ魚の目をしている蒼音。相当過酷な日々だったのだろう。

「うん、それは何となく見てたら想像付くかな。女の人はえっと……」
口にするのも恥ずかしいセリフに、羽京が詰まる。

「皆美女!ね~。なんかもー欲望の規模がデカすぎゴイスーーー。あの感じだと相当モテて」
「うん。女の人と付き合いまくってたよ、私が把握してるだけで数十人はいるよ」

「数十人!!?」
残り二人が震え上がった。まず普通は行かない数である。だが普通じゃないのが龍水だ。

「えっと?でも蒼音には本気なんだよね。じゃあせめて遠慮したりとかは」
「いや?人との出逢いで価値観を広めておけとか云えばすんなり暴れまくってたけど」
蒼音のトンデモな助言。もはや許嫁公認だったのか。というか遠慮はもう龍水に求めてはいけない。
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