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二人の航海者

第4章 春の嵐


「龍水君。私は【君とは違う】方法で復活したのだよ。簡単に言えば、私は意識を一度たりとも『飛ばさなかった』のだよ。3700年間脳をフル稼働させて——そして自力で復活した」
「…………!?なんだと!?」
驚愕の事実に目を見開く龍水。

「そうして起き伸びた私が、千空君に君を推薦。『船長』として復活させた訳だ。私の様な!そんな大層な事が出来る!世界でも最強クラスの女の愛が欲しいと囁ける土俵に!!居ないのだよ君は!!! 

……アーデモー、千空君なら同じ復活方法だし、彼ならイケルかもなー、私と結婚クライー。私同様起き続けて復活したしー、ねー千空クンー(棒読み)」 

「ククク……!あ゙ぁ、そうだなー軍師サマ。テメーみてーなガッツある女は他にいねーもんなー!?俺らは仲間だもんなーー!!(棒読み)」 

狙いを読んだ千空まで楽しそうに蒼音の茶番に乗っかっている。あの蒼音の事だ。その天才の頭脳で恐らく龍水を上手いこと誑かして、操縦する気なのだろうが。見ている周囲はゾゾゾ、と震えている。蒼音を敵に回してはいけない。

「な、なんだと……!?!他の男の手に貴様が渡る……!?しかも結婚だと!?」
顔面蒼白になる龍水。棒読みにすら気付いていない。まあ、それだけ蒼音の事が好きなのだろう。 

「でも仕方ないよね。3700年程度!!私の為に!私の事を考えて!起きていられぬ程度の愛の男が!!3700年も起き続けて!起こしてくれた女に求愛!?言語道断!!貴様に資格なぞ無い。【高嶺の花】に手を伸ばすな!!」 

カッ!!と目を見開いて蒼音が言う。演技だが、蒼音の気迫にすっかり龍水は掌の上で転がされ、うっ、た、確かにとなっている。あまりのチョロさに周囲はドン引きだ。
——が、そこで蒼音がコホンと咳払いをして静かな声音で告げた。

「だがまあ、私は今『軍師』として仕事をしているのでね。優秀な『働き』次第では……もしかしたら求愛のチャンスも君を好きになるチャンスもあるかもしれんなーー??」

トコトン下げてから上げる作戦。完全に『船長』としてこき使う為の嘘だが、俯いてふるふる震えていた龍水がガバァ!!と顔を上げて蒼音の足に縋り付く。
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