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二人の航海者

第2章 世界の歌姫の小さな一歩


「ちなみに龍水君の部屋は?」
「貴様のひとつ下のフロアだ。喜べ!最上階は貴様に譲ろう!!」
ドヤ顔の龍水君に、いやそこ譲歩する所じゃないと突っ込むと、何故だ!?嬉しくないのか!?と追撃。アリガトーと棒読みで礼を言う蒼音。そもそもの単位もおかしい。ワンフロア?マンションを丸ごと買う必要はあったのだろうか。考えたら負けな気がしてきた。

「だよね。あと学校であんまりベタベタするのは」
「フゥン、当たるぞ俺の勘は?貴様は敢えて演技をしているのだろう。だが安心しろ!貴様が猫を被らずともいいように、俺が貴様が他の輩と会話する機会すら無くしてやる!!俺は貴様との時間が欲しい!!」
バッシィィイン!!と龍水は指を鳴らし。

無理やり家を移された蒼音は、慣れない家での生活と龍水に四苦八苦した。彼の言った通り、直ぐに近寄る者は居なくなった。蒼音は契約通り、六道院家出身の著名人と七海財閥の上層部との良縁を作っておいた。

おかげで龍水は小学生高学年にして帆船を作り始める事に成功。上層部は蒼音が説き伏せ、欲望龍水君の好きなようにさせた。今まで何も出来なかった分を代わりに龍水に埋めてもらう様な日々。蒼音は彼の援助で歌関連の講師を付けてもらい、毎日歌を勉強した。

学校も龍水と一緒に行ったものの。
「はっはーーー!よし決めた。蒼音、今からサボるぞ!!」
バッシィィイン!!と指を鳴らし授業中に宣言する龍水。教室の他の全員がポカーンとする。こんな堂々としたサボりがあってたまるか。

「龍水君!ちょ」
「フゥン?こんな詰まらない授業は貴様には時間の無駄だ!行くぞ蒼音!!」
引き摺られて近くのゲームセンターへ。初めてできょろきょろする蒼音を不思議そうに龍水が見ている。

「なんだ?蒼音。ゲーセンすら来たこと無いのか?俺達なら既にこんな所慣れっこだろう」
「いや君は金持ちの中でも普通じゃないし、うちの家風考えて?純和風の家だぞ?私の家をなんだと思ってるんだ、君は」

フゥン?と龍水がひとつのゲーム台に連れていく。レーシングカーを模した物の様で対戦も出来る。一通り教わった蒼音と龍水で対戦するが。
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