第11章 【番外編】向日葵の君へ
「あわわわわ……!!蒼音と龍水がケンカ(?)なんだよ〜〜!!結婚したばかりなのにも、もう離婚なんだよ!?!」
早とちりしたスイカの台詞がグサァと龍水の心の外郭を突き破り、最も柔い部分を貫いた。以前千空が秒で離婚したのを見ているので、それで離婚というワードがスムーズに出てきてしまっただけである。
「りこ、んだと……??蒼音と……」
地面にしゃがみこみ、頭を抱えて呟く龍水。勝負前なのに精神面がまんまと殺られている。傍に控えるゲンがまあまあ〜!とフォローに入った。
「このポーカー勝負でお嫁さんに良いとこ見せちゃえばいいじゃない、龍水ちゃん!勝った時にご褒美付けて貰うのなんてどーお?やって欲しいシチュエーションの一つや二つあるでしょ〜」
蒼音が中立なのをいい事に、ゲンが龍水をおだてた。成程な!と龍水がトレードマークの指鳴らしをバッシィィイン!!として蒼音に交渉する。
「蒼音。貴様は俺の嫁だからな、この勝負に勝ったら毎日俺の部屋で共に寝て目覚めのキスをしろ!!俺が負けたら貴様の言う事を何でも聞いてやる!」
「えっと……龍水ちゃん。一緒に寝るとか公然と言っちゃっていいの?バイヤーな奴じゃない?」
ゲンが蒼音に気を遣うも、ゲームの準備を終えた蒼音は蒼き蝶ネクタイをくいと正面から見て曲がっていないように整えつつ、構わないよと頷いた。
「いいだろう、龍水君。存分に頑張りたまえよ」
「はっはーーーーー!!なら遠慮なく戦うぞ俺は!?蒼音との!!添い寝とキスが欲しいッ!」
良い所見せるぞと腕捲りする龍水をウンウンそうしたまえ、と蒼音がニコニコ楽しげに見守っていた。
——で、肝心の勝負の結果はというと……