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二人の航海者

第10章 二人の航海者


「あの、司君だよね?なんで神父の服なの?」
目の前に居るのは、かつて自分が裏切った国の主。復活したばかりの獅子王司だった。唯一蒼音が復活した時の第一声を知る人物。

「俺がある意味、石化の真相を明かした事の生き証人だからね。うん、君は俺の元部下だ。これくらいするよ」
「ありがとう、司君。理由は分かったが、私の第一声の話と関係は」
「いや……」
其方では無かった事にホッとすると、ズズい!と横の新郎、龍水が前に出た。しまった、コイツが居るの忘れてた。

「おい司だったか!?今の第一声とはなんだ!?」
「君が龍水だね?それは俺の口からは」
「じゃあ蒼音!その第一声とやらはなんだ!?」
矛先を向けられた蒼音がひーー!!と涙目である。モゾモゾしつつも復活した時に名前を叫んだと話すので、龍水のテンションが更に上がる。なんだかんだ仲良しな二人を見つつ、未来とスイカが最前列の席で見ていた。

「兄さん、神父さんの格好似合うわ〜!!」
「蒼音も綺麗なんだよ〜!!」
スイカの声に気付いた蒼音が、つかつかとヒールを鳴らして近付いた。

「スイカちゃん。無事に帰って来てくれて良かった」
「!す、スイカは特に大した事はしてないんだよ」
「いやある……」
船出組のみんなの声が一致した。どう言う事なの?状態が多過ぎる蒼音に、千空が面倒くさそうに冒険譚の一部始終を告げた。

「っつー訳で、軍師サマの策謀で送り込まれた大自然と潜入の天才、スイカサマが大活躍した訳だ」
「なるほどね。スイカちゃん、頑張ったね」
頭を撫でられて、スイカがえへへーと笑う。

「蒼音は、なんだかお姉ちゃんみたいなんだよー」
思わず口に出したスイカに、そう?と蒼音が首を傾げた。自分に妹なんてのは居ないが。スイカなら確かにそんな気もする。
「……そうかもね。スイカちゃん。いいこ、いいこ」
頭を撫でる蒼音に、嬉しそうにスイカが笑いかけた。
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