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二人の航海者

第10章 二人の航海者


「蒼音ちゃんも先読み度ゴイスーーー!!さっすが龍水ちゃんの操舵のプロね〜!?」
ゲンが突っ込む中、龍水は大喜びで指鳴らしを始めたのでスイカが再度りゅーすーーい!!と止めた。蒼音の出したデザイン案複数から絞り込まれ。着々と凱旋航海というより、龍水の結婚航海の準備が始まった。

******
「すう……すう……」
蒼音は、ベッドで眠る。
今日の自分の仕事を一通り終え、少し家に帰り休んでいた。船長服も揃え、帽子が脱げない様に紐で服と結んだうさぎが、その腕の中に収まっている。んん、と身動ぎする中。何か、唇に当たる。

「……んん……っ」
起きない蒼音に、何度も唇に柔らかい感触。
「………………??」
ぼやり、とした視界の中。真っ先に目に入ったのは、窓から差し込む光に照らされる、金色の光と。金色の髪。

「ゆめ、かあ………」
すやぁ、とまた眠りこけそうになる蒼音に、クワッ!!と目の前の人物が叫ぶ。

「夢では無い!起きろ蒼音!!くそっ、いばら姫じゃないのか貴様は!?何回キスすれば起きるんだ、3700回か!?!」
「…………は?」
その台詞に、完全に覚醒した蒼音がぱち、ぱちと瞬きをした。急いでムクリ、と起き上がる。その姿を見て、最愛の人が笑った。

「お目覚めかな、いばら姫。いや……
六道院蒼音。待たせたな、迎えに来たぞ。約束通り、無事にDr.STONEも持ち帰って来た。俺と——【七海龍水】と。結婚してくれないか」

目の前に、龍水が居た。真っ白いタキシードまで着ている。もっと何ヶ月も、下手したら帰ってこないかも知れない航海を終えた龍水が。今、片膝を地面に付けてしゃがみ。指輪の箱を開けて、プロポーズしていた。夢にまで見た人に、蒼音はぱくぱくと唇を動かしたあと、やっとの想いで口に出す。
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