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月が欠けた日から…

第23章 殺せんせーとカエデのこと


「大丈夫、あなたならできます。」

「…はい」

ふたりが初めて触れ合ったのは三日月が生まれる3時間前。

「私が呪われた死を迎えるのは当然の報い。」

「望みを捨ててはダメ!助かる方法を…!」

「だが、せっかく手に入れたこの力。さよならです、あぐり。私はここを出る。予定よりまだ早いが十分なパワーは手に入れた。この程度の施設など…」

「ダメ!もう悪いことは!私はあなたとずっと!」

「止める気ですか?」

「はい!」

「君が?どうやって?その腕で?その頭脳で?私以上の能力がなければ私を止めることも救うことも出来ませんよ。人質に値する価値は君には無い。無駄死にする前に去るといい。」

「…雪村です。第1扉解錠願います」

「さあ、試してみよう。拷問を耐えて手に入れたパワーを!ありがとう、柳沢。おかげで無敵な体を手に入れられた。私の先導があったとはいえね。」




「打てー!」

「大動脈を破壊するだけなら砂粒で十分。君ら程度ならいつでもやれた。」

触手地雷。反物質生物の副産物だな。

「この程度では死にませんねぇ。」



(どの道、1年後には死ぬ身。ここで死んでも構わない。地球とともに死ぬのも悪くない。)

「だめ!」

全て見えていた。全てが見えていた気になっていた。しかし私を見ていた彼女の存在が私には見えていなかった。
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