第23章 殺せんせーとカエデのこと
「迂闊に扱うなよ。どんな状況からでもやられる危険があると思え。ま、どんな殺し屋でもこうなってはざまぁないなぁ。いいか、モルモット。伝説の暗殺者、死神の新たな生活は朝から晩まで人体実験を受ける日々だ。」
「わぁ!いがーい!すっごい優しそうな人なんですね!」
(監視役を押し付けられた類か。)
「でしょー?なにもしないから解放してくれませんか?」
「ダメです。もし殺されたら私死んじゃうもの!」
(この女はやりようによっては使える。だがひとつ気になることがある…そのシャツ何!?)
「雪村あぐりです。よろしくお願いします!」
そうして始まった人体実験はなかなか手洗い物だった。
(隙だらけだが今やっては脱出を困難にするだけだ。)
「少し休んだら言ってください。バイタルチェックしますから。」
「相変わらずダサいシャツ着ていますね、雪村さん。」
「こっ、これもダメ!?独房生活の清涼剤になればと思ったのに!」
「正直イラッとします。」
「好きなブランドなんですけどねー。私の生徒にもなぜか評判悪いんです。」
生徒?そう呟いた時入ってきたのは柳沢だった。
「あぐり!データチェックひとつとるのに何分かかってる!お前の親父がうちの下請けだからお情けでお前を貰ってやるんだ。恩に報いろ!俺の命令には誠心誠意で全力で従え!じゃあな、モルモット。また明日。」