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月が欠けた日から…

第23章 殺せんせーとカエデのこと


「えっ…?」

私はその光景に理解ができずただ呆然とカエデを眺めていた。

「あーあ、渾身の一撃だったのに逃がすなんて甘すぎだね、わたし。」

「茅野さん!君はいったい…!」

殺せんせーもカエデの後ろから伸びている触手に理解ができていないようだった。

「ごめんね、茅野カエデは本名じゃないの。雪村あぐりの妹、そう言ったら分かるでしょ?人殺し」

雪村…先生。前に渚から聞いたことがあった名前だった。たしか、渚たちの前の担任。

「しくじっちゃったものは仕方ない、切り替えなきゃ。明日またやるよ、殺せんせー。場所は直前に連絡する。触手を合わせて確信したよ。必ずやれる。今の私なら。」

私たちはこの状況で何も言えずただカエデが去っていった方向を見ることしか出来なかった。

「ありえない。メンテもせずに触手なんて生やしていたら地獄の苦しみが続いていたはずだ。表情に出さずに耐え切るなんてまず不可能だ。」

「しかも!雪村あぐりの妹だって!」

「俺らの前の担任じゃねーか。」

やっぱり前に渚からちらっと話を聞いていた情報は間違っていなかったようだった。

「どっかで前に茅野を見た事あると思ってたんだ。キツめの表情と下ろした髪で思い出した。眞瀬榛名って覚えてるか?どんな役も軽々こなした天才子役。休業して結構経つし髪型も雰囲気も全然違うから気づかなかった。」

そう言って三村くんに見せてもらった画面を見てみると確かにカエデに似ていた。
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