第21章 先生と先生～理事長のこと～

「月に一度の技か…。なぜそれを自分に使わなかった？」

「あなた様に温存しておきました。私が賭けに勝てばあなたは間違いなく自爆を選ぶでしょうから。」

そしてその瞬間に學峯さんはその瞬間に私が自分の体にいることに気づいたようだった。

「っ…！？、なんでここに…。」

私は俯いて目に貯めていた涙を流しながら返す言葉を探っていた。

「っ…だっ…て…っ。」

私はバッと顔を上げた勢いで喉に詰まった言葉を吐き出した。

「あなたは私の親と同じくらい大切な人で、死なれたら私の親以上にいなくなって欲しくないからっ…。だから、簡単に死のうなんて思わないで…ください…」

そう言うと學峯さんは私がどう思ってここまでできたのかやっと理解したようだった。

「…すまなかった。それだけ私のことを父親のように思ってくれているとは。すまない。」

私はまだ溢れる涙を堪えながら學峯さんに抱きついた。それに応えるように抱き締め返してくれた學峯さんの腕はすごく暖かった。

「…殺せんせー、なぜ私の行動が断言できた？」

「似たもの同士だからです。お互いに意地っ張りで教育バカ。自分の命を使ってでも教育の完成を目指すでしょう。」