第21章 先生と先生~理事長のこと~
と、その時だった。殺せんせーは問題集に触れたかと思ったらすぐに閉じていた。
「はい、開いて解いて閉じました。この問題集シリーズ、ほぼほぼどのページにどの問題があるのか覚えています。数学だけ難関でした。生徒に長く貸していたので忘れてまして…」
殺せんせーがそう言うと凛花と桃花とメグは心当たりがあるようだった。
「私が持ってきた問題集なのにたまたま覚えていたとは…」
「まさか!日本中、全ての問題集を覚えましたよ。問題が解けるまで爆弾の前から動けない。こんなルール、情熱のある教師ならばクリアできます。あなたなら私を分かってくれていると思っていましたが教え子の敗北で心を乱したようですねぇ。」
殺せんせーはそう言いながら4冊目までの問題集を開いて解いて閉じていた。そして残ったのは最後の問題集、學峯さんだけだった。
「學峯さん…。」
私は學峯さんの目を見るとどこか遠くを見つめるかのように問題集を見つめていた。過去を見つめるように…。
「さぁ、浅野理事長。最後の1冊を開きますか。いくらあなたが優れていても、爆弾入りの問題集を開けばタダでは済まない。」
今、學峯さんが何を考えているのかどうしようとしているのか私には分からなかった。