第18章 イリーナ先生のこと
というわけで、ついにきた夜の6時。私たちは指定された場所に着いていた。
「か、カルマ…。」
私はいつもと違う相手に少し怖気付いていた。鷹岡みたいな先生だったら正々堂々と刃向かえる。だけど、殺気も何も見えない相手に刃向かうのはどうしても勇気のいることだっま。
「大丈夫。俺ついているから。」
私はカルマの手をギュッと掴んで不安を消し取ろうとした。それを察したのか、カルマも私の手を握り返してくれていた。
「全員来たね。それじゃ、閉めるよ。」
私たちは中に入ると同時にどこからか声が聞こえ、入ってきた扉は自動的に閉められた。中はただ広いだけの空間だった。
「ふーん、やっぱりこっちの動きは分かってるんだ。死神ってよりかは覗き魔だねぇ。」
「約束は守ったでしょ!?びっち先生さえ返してくれればそれで終わりよ!」
メグがそう言った瞬間、部屋がぐらりと揺れて下へ落ちていくようだった。
「わぁっ!?な、なに…。」
「大丈夫、部屋全体が下に下がっているだけだよ。いつものらしくないよ?大丈夫?」
「う、うん…」
私はまだ招待がよくわかっていないソイツに怯えていた。部屋全体が下がりきったそこにいたのは昼に来たそいつと、イリーナ先生も拘束された状態でそこにいた。
「捕獲完了!こうやっていっせいに捕獲するのが1番リスクがない!」