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船上の医師

第3章 君の肩には


 後日。千空と白夜を屋敷に呼び寄せて、帆船航海に乗る事を条件にスポンサーとして科学機材を与える事を約束した。
「科学機材つっても、ウチにはサンタが来たからなー。なあ白夜」
「んっ!?そ、ソウダナー千空ー!」
 白夜の方をチラ見しながらそう言ってのける千空に、茶を啜っていた白夜が軽くむせた。本当は白夜が車を売って用意した事を知ってるのだろう。二人に今回の帆船航海の説明を龍水がする。
「俺が船長だが、今回航海に使うのは機帆船だ。港の中は汽走しなければなるまい。つまりエンジンで動かすのだ。そこは別途資格持ちの人間を雇っている。帆で動かす部分は俺含めた船員でやるぞ」
「帆船ですかー。私も実は乗った事がなく。楽しみですね」
 白夜がそう所感を述べる。千空だけ乗せる筈が、白夜も保護者として乗ることに。海図を広げて説明する龍水の話を熱心に聞いている。今回は処女航海だ。故に1泊2日で横浜港の外に少し出てから、港の中にUターン。港の中で錨を降ろして停泊する流れである。その間に帆張りをしたりと色んな活動がある。
 
「では当日またな!」
 そう龍水が纏めて、そして迎えた帆船航海当日。雪乃は白衣を身にまとい、乗り場へと向かった。既に白衣を着込む船医に、やる気は十分だなと龍水は満足そうだ。
「してその白衣、良いものだな」
「あ、分かる?スーツみたいでしょ。クラシコって所の白衣でお気に入りなんだ」
 そんな雑談をしながら、船に乗り込む。そうして始まった処女航海。まず最初はエンジンをふかして、港の中を船が走る。海技士資格持ちの人間を龍水が雇っているので、彼らが運転するのだ。操舵室にて、その運転手さばきをじーっと見ている龍水。いずれ自身の手でやりたいと考えているのだろう。そんな彼を見ながら、「意外だな」と雪乃は思わず口にしていた。
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