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船上の医師

第3章 君の肩には


「……貴様は嘘を言わん。俺の航海にいずれ必要になる人材というのも嘘じゃないのだろう。だがな、何か隠していないか」
「それは……まあ。船乗りのカン凄いね」
 龍水の鋭さに、雪乃はやや肩を竦めた。彼に隠し事をするのは難しい。どうせいつもの『当たるぞ船乗りのカンは』でズバリ言い当てたのだろうと雪乃が思っていると。少し呆けた顔で龍水が告げた。
「雪乃。なんだその『船乗りのカン』とやらは」
「え。……あ、っ」
 そうだ。今はまだ龍水は船乗りではない。つまり、あの口癖はまだ《生まれていない》のだ。参った、こんな初歩的ミスをするなんてと雪乃は悔いたが。
「はっはーー、確かに俺はカンが鋭くよく当たると言われるぞ!?船乗りのカン、か。今後使わせて貰おう」
「え」
 まさかまさかの、採用されてしまった。いや原作通りだし別に問題はないのだろうが。こんな流れで『当たるぞ船乗りのカン』が生まれるとは。というか自分のせいで生まれたようなものだ。これで良かったのか、と思わなくもないがまあなった物は仕方がない。いいんじゃない?と感想を述べて、その日は解散になった。
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