第3章 君の肩には
「皆、よくぞ頑張ってくれた!」
そう纏める船長龍水。今回は1泊2日の旅だったが、今後はこの船で世界を周ると希望を述べた。
「なあ、雪乃」
下船し、船を見ながら龍水が尋ねてきた。
「何を聞きたいのか、分かるよ。世界を周れるかどうかでしょ」
「ああ、そうだ。……貴様は、俺が世界を周る未来を信じているのだな」
信じてるのか、それとも知っているから当たり前と思っているのか。それ等の間には大きな差があるように感じたが、雪乃は信じてる、とだけ述べた。
「これからも頼むぞ、船医」
「もちろん。七海船長」
かくして、処女航海は幕を閉じた。しかし二人の先には、波乱がまだ待ち受けている事を、この時はまだ知らなかった。雪乃が作った龍水と千空との縁。それにより失われた未来を、原作より変わってしまった展開を、この時知る術はなかった。自身の肩に、70億人の生命を背負う代償を。
……神原雪乃、狙撃まであと3728年と3ヶ月——。