第3章 君の肩には
「どーでもいいけどな。で、テメーの方は誰だ」
「千空。人様にそんな口をきかない!」
白夜に注意されつつ、龍水の方を顎で指す千空。申し遅れたなと龍水が一歩前に出た。
「俺は七海財閥の御曹司、七海龍水だ!」
「あ、こっちも『七海龍水』で検索したら記事で出るんで」
「雪乃ーーーーッツ!?何を割り込んでいる!?」
ささっと補足する雪乃。もういっそググッてもらった方が早いと判断した。予想通り、千空が鬼のような速さで龍水が暴れてる記事を探り当てる。
「《天下の七海財閥の御曹司、マネートレードやレース場建設などやりたい放題》だとよ」
「おい!なんだその記事は!?」
千空が読み上げた記事の名前に、龍水が声を荒らげる。事実だから仕方ないだろう、と適当になだめる雪乃に、んぐぅと声を詰まらせる龍水。こっちもまあ情報元はともかくとして、身元は明らかになった。後日七海財閥の屋敷に招く話をして、解散する。
「では失礼します。本日は有難い申し出をして頂き誠にありがとうございます」
「いえ。此方こそ唐突に失礼しました」
白夜と雪乃が互いに頭を下げる。帰るぞ、と千空が白夜の服の裾を握り引っ張った。その後ろ姿をしばし見送り、雪乃と龍水が声をあげた。