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船上の医師

第3章 君の肩には


「ロケット作ってんの見られてたのかよ?そんでテメーらは俺に何して欲しいんだ」
「帆船に乗って欲しいんだ。一度!一度だけでいいから!そしたら高い科学機材とか諸々負担するよ。使用用途とかは要報告だけど」
「何だそれ、そっちに何のメリットあんだよ」
 耳をいじくった指に、ふーっと息を吹きかける千空。で、ですよね。それはそう。イマイチ押しにかける雪乃に、見かねた龍水がズズい!と前に出た。
「はっはー、決まっていよう!?七海財閥は貴様のような才能ある人材が欲しい!七海学園が運営する科学専門の学園に推薦入学だ!」
「よーするに将来安泰ってやつか。興味ねーな」
 あぁああぁああ!!駄目だった!雪乃、頭を抱えた。ここで失敗しては、雪乃自身の《3700年後の人類なるべく死なさない計画》がぶっ倒れる。どうしたものかと悩んでいると、
 
「千空ー!!!お前の方から連絡くれるとか久しぶりだな!?」
「あ゙ー白夜。ヒゲ痛ぇぞ、顔に擦り付けんな」
 ……雪乃、硬直した。この見た目に声は、まさか。
「石神、白夜さん……?」
「え、はい?そうですが。どちら様で」
「白夜、不審者だ不審者。テメー親だろ何とかしろ」
 どうも千空がLINEを送り付けた所。たまたま休みであった白夜が駆け付けたみたいだった。警察呼ばれるよりはマシだが、これはどうしたものか。えーとですね、と言葉を淀ませつつ雪乃は再度名刺を用意し、今度は白夜に差し出した。
「私、七海学園附属大学病院の医師、神原雪乃と申します」
「あ、いえいえこれはどうも」
 白夜が頭を下げながら名刺を受け取る。ウチの千空が何かやらかしましたかね、と言われたのでいやいやとんでもない、と首を振る。
「私の顔と名前は多分ネットで検索したら出てくるので其方で身元を把握していただければ……」
「出てきたぞ白夜」
「千空君早いね!?」
 雪乃もびっくりする速さでググる千空。彼が差し出したスマホ画面には、『史上最年少!日本から出た若手医師神原雪乃、12歳でアメリカの大学卒業』と派手なタイトルが踊っている。「凄い方なんですねぇ」と白夜に言われていやいやいや!と雪乃は否定した。
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