• テキストサイズ

船上の医師

第3章 君の肩には


「その少年はどういう輩だ?」
 案の定、龍水ですら眉をひそめて突飛な申し出を訝しんでいる。仕方の無い事だ、今は2013年。千空はまだ小学四年生。そんなのを乗せろというのが無茶ぶりである。しかし、だ。千空は龍水が復活する前に帆船の設計図を立てていた。帆船について学ばせた方が後で知識が生きる。そこまで見据えた上での提案だった。
「今後の君の航海に必要な人材だ。彼は頭がとても良くてね、君も見たら『欲しい!』と叫ぶだろう」
 そう売り文句を並べる。嘘は言っていない。ふむ、と龍水は腕組みしてやや目を伏せた後に、それを承諾した。千空の連絡先を割り出すのは超権力集団・七海財閥の力であれば楽勝であった。で、千空にコンタクトを取る所までは行ったのだが。
 
「はっはーーーー!!貴様、石神千空と言ったか!?小学生にしてずば抜けた頭脳の持ち主と聞いた、貴様が欲しい!」
 千空の学校の帰り道にて。待ち伏せしてた龍水がそう声をかけた。あ、怪しすぎる。幼いちびっ子千空はというと、雪乃からしても可愛らしい少年だったが。みるみるうちに顔を曇らせて、スマホをポケットから出して弄り始めた。あ、不味い。これ通報されるやつだ。
「まままま待って!!めーっちゃ唆る話あるから!七海財閥って知ってる!?お姉さん達はそこの人!君が河川敷でなんかロケットだかなんだか作ってるのたまたま見ちゃって。君には才能があるからスカウトしに来たの!」
 途中の河川敷うんたら、は監視をつけて見てただけである。雪乃はササッと名刺を出した。七海学園附属大学病院、ER所属医師、兼船医。長ったらしい肩書きに、ほーんと千空が感想を漏らす。
/ 43ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp