第1章 未知の味
「さ、パパはもう教会に行かなきゃならない。
ラキは?今日はうちに居るかい?」
「ううん、でも気分的に森に行こうかな」
「一人で!?」
「あ、ううん。ほら、いつもの。
秘密基地があるからそこに居ると思うから」
「そうか、うん、ならまあ……」
レグナは渋る様子を見せたが止めはしなかった。
もし、ここで止めていたら。
もっとラキの話をキチンと聞いていれば。
何かは変わっていたかもしれない。
元気よく駆けていく姿はいつものラキである。
レグナはその後ろ姿に目を細めた。
独り身なのに子供を任されどうなる事かと思ったがすくすく成長している。
異界からの子とはいえ同じ吸血鬼と何も変わらない。
まるで人間(ピュアヒューマン)のような容姿を除けば。