第3章 沼地の井戸
「とりあえずお前は火を出さないでくれるか?
……というか言ってること分かるか?」
「?」
「大丈夫、あれ多分ここの熱が引っ掛かったゴミに引火してたの。
興奮したり出力を上げると燃えてたんだ。
だから落ち着けようとしてみたんだけど……」
少女がヒビを指差す。言ってる事には納得が行くが、
この子は自分が何をしたのか分かってるのだろうか。
誰もこんな事を考えつきもしなかったのに。
暴走ゴーレムはすっかり少女を信頼してるのか
それとも主人と見なしたのか離れようとする様子がない。
「……とにかく、ゴーレムってのは……そうだな……魔法の人形だ。
お前は金属が使われててエンジン?があるなら機械かもな。
俺は骸骨で出来たエンジンのないゴーレム。分かるか?」
「キカイ?」
「エンジンがあるわりに骸骨さんの方が頭良さそうだね」
「何かを考えつくと都合が悪い事に使われてたのかもなぁ……」
とすると、何か目的があって作られたゴーレムだ。
俺のように勝手に発生した訳でもないし、
姿形を見るにあの状態は想定されていなかった。
用がなくなり"捨てられた"って所かな。迷惑な話だ。
「まあいい、人間。お前の連れが待ってる、行くだろ?」
「行く。私はラキ、たぶん吸血鬼」
おかしな少女ラキと緑のゴーレムを連れ、
俺はニルダたちの待つ沼地へ戻る事にした。