第2章 巣立ち
と、再び地響きがしてチョロチョロと小動物たちが脚の下を駆けていった。
見れば足元には一本の白いナニカがある。
「もしかしてさっきの……」
つつくもピクリともしない。
動物たちの突進に巻き込まれたのだろう。
とりあえず拾っておこうと手を伸ばした矢先だった。
「大変……こっちに来そう!しかも速い!ニルダ、木を登って!」
「えッ」
「はやく!」
ラキの手に掴まるとおよそ年下の女の子ではない力で持ち上げられ、
無様に幹にしがみつく事が出来た。
どうにかよじ登ろうともがいているとパチパチという音が耳に入る。
何だろう、そう、焚き火みたいな匂いだ。
「……!(あれ)」
ラキが小声で指さした先には見たこともない何かが居た。
全身がテラテラと光る赤黒いヒトガタ、
周囲の景色が熱で歪み歩いた後が焼け焦げている。
「(なにあれ……)」
「(……分からない)」