第6章 米花町
医療用セットを持ってカホの方へと向かう沖矢。内心沖矢は柄にもなく胸が高鳴っていた。注意人物の1人ではなく1人の女性として。無理もない。清楚で穢れなどをまるで知らないまるでおとぎ話の中から出てきたような凛とした雰囲気。座るだけでも絵になる美しい女性だ。
「すいません。突然押しかけてしまって」顔を上げ上目遣いで耳に髪をかけるカホ。
「いいえ、構いませんよ。怪我をしている女性をほっとくわけにもいきませんし。足よろしいですか?」
「あっ、自分で「この箇所はご自身じゃ手が届きづらいのでは、ないでしょうか?やはり嫌でした?」
沖矢はらしくないことを口走ってしまった。しかし無理もない。目の前で美しい彼女の白く柔らかそうな肌に触れたかった。少し強引だが口実を使った、優しい彼女のことだきっとノーとは言えないだろう。沖矢はそう推測した。
「そんな、いえただ申し訳ないと思って、、」
「私は大丈夫ですよ。ではスカート少し失礼します。」
「あっ」
スカートを少し捲られ恥ずかしいそうに顔を赤く染めるカホ。その一連の行動だけでもこの反応をするカホ。沖矢はますます彼女を欲しくなった。
「やはり、炎症を起こしてますね。早めに治療できてよかったです。」手早く治療する沖矢。
「これでもう大丈夫ですよ。」
「ありがとうございます。助かりました。あのっ、ここまで見ず知らずの私に親切にしてくださったのですから、私にもできることありませんか?」
顎に手をつけうーんっと考える沖矢
「そうですね。では少し話相手になってもらってもよろしいでしょうか?」
「え、そんなことでよろしいんですか?なにかお掃除とか、、お手伝い出来ることがあればなんでも」
「いえお気持ちだけで十分です。いま飲み物を用意しますね。」 「私も何かお手伝いを、」
「いえ、自分が強引に誘ったのですからそのまま」
促されるようにその場を止まったカホであった。
一方白い車の持ち主降谷はカホを取られ、黒く沸々と湧き上がる気持ちを窓にぶつけた。
「クソッ!」
彼らしくもない余裕のない行動だ。
「どうして、アイツなんか、沖矢昴となんかっ、!」
しかし時間のない彼の仕事だ、ここで留まるわけにもいかない。
「カホどうして、」
今すぐ彼女を取り返したいが時間がそれを許さない。ぶつけようのない怒りを胸に車のアクセルを全開にし、車を走らせた。
