第3章 縁談
「カホさん」一夫の後を追おうと歩き出そうとするカホを降谷は止めた
胸の高鳴りを抑えられないカホは降谷の元に向かった「あ、あの降谷さん?」赤面しているであろう顔で遠慮がちに降谷に近づいた
一方降谷の方も胸の高鳴りを抑えられずにいた、ーーー
『お見合い写真を見てすぐにきみだとわかった。やっと見つけた僕の愛しい、愛しいカホ。誰にも取られたくないんだ』ーーー暗く渦巻いた独占欲がはたらいたーー
(え?降谷さん本当にこの縁談を受けるんですか?)
(いくら仕事人間だからって私用まで仕事を持ち込まなくても、)
ーーそう、これはあくまでも仕事だ。私用は禁止だ。しかし他のやつに彼女を取られると思ったら考えられなかった。勿論仕事も忘れていない降谷だ。クロだと証拠を残さない成瀬財閥、なんとか成瀬家に近づくしかなかった。カホは知らないであろう自分の父が黒の組織よりも厄介な存在だと言うことをーー。カホは何も知らずに自分のそばにいて欲しい。だがそれはおそらく無理に近い。また自分の近くの人間が命を落とすのがなによりも怖かった彼そう、ひろのようにーー。トリプルフェイスと呼ばれている彼だ悪魔でも天使にも演じ分けることができる。
成瀬一夫の情報だけ得られればいい、無駄な雑念は返って足元を見られるかもしれない、降谷は考えた
『彼女には悪いがこの結婚生活には愛がないと示さなければならない』そうでもしなければ彼女が危険な目に遭うーーー
成瀬財閥の見合いを即答で返答したときは皆から驚かれた無理もない、恋人は日本だと謳っていた彼なのだから。『俺も随分彼女に依存してるな、、』写真を困ったように笑みを浮かべる降谷だったーー
「あ、あの降谷さんわ、わたし「こんにちはカホさん早速ですが僕と結婚してくれませんか?」