その力、分けて貰えませんか?【ワンピース】【ロー】
第2章 第二章 ただの船員…の、はず。
「…うん。それじゃあ。」
再びコツコツと歩き出した。今度は店ではなく船に向かって。
「!!、嫌な予感がする…ごめん、ちょっと待ってね。《アバター・クール》」
「?」
ローが軽く首を傾げた(イケメンのコレはマジで心臓に悪い)が、そんなことは気にせず、先ほどまで偵察に行ってくれていた『彼女』に仕事を依頼した。
「どうした、本体。ローの前では俺は作らないと決意していたのはこの間だぞ。」
「いや、勘が働いて…先に船に戻ってくれる?何かあったら、影を縫って私の中に逃げれば何とかなるし。」
「…了解した。それじゃ、ロー。説明は本体からあるだろうからな。」
そう言うと短髪の美少女はぬるりと地面…いや、影に沈んでいった。
「…‥どういう事だ。」
「えっと、ワケワケの実の能りょ「それは知ってる。」…はい。」
「何故隠そうとしていた。今日感じた謎の気配はさっきの野郎だな?」
「野郎って言わないで、あれも『私』だよ。」
「…分かってる。」
「…気味悪がられると思って。」
「は?」
「だから…っ、気持ち悪いでしょ!?悪魔の実の能力とは言え、私が何人も何人もいるなんて…っ!!」
「…はぁ。そんな事か。」
「そんな事って何よ…!!貴方には分からないでしょ!?悪魔の実を食べた事で、メリットだけでなくデメリットだらけだっただなんて…ただ友達に無視されるだけならまだしも、あの子にも裏切られて、…私にはもうリフィーしかいないの。『そんな事』だなんていうなら、貴方だって私を裏切った人間の1人よ。」
「…悪かったが、俺だってデメリットはあったさ。」
「コラさんに関する事かしら?」
「………チッ、勘が鋭い野郎(女)は、これだから嫌なんだ。」
「!!、そう。じゃあもう良いわ。さよなら。私みたいな人間を船に乗せたって、メリットも無いでしょうから。」
そう呟いて、私は踵を返した。
ついでに、彼女に戻るように連絡して。幸い、まだ船には着いていないようだったから。
後ろから、小気味良い低音の声が聞こえたが、何も聞こえなかったフリをしたし、特にハッキリ聞こえた言葉もなかった。
どうせ、待てだの何だの、引き留めるような言葉だろう。
聞く気にもならず、そのまま歩き続けた。
____彼は追いかけては来なかった。