その力、分けて貰えませんか?【ワンピース】【ロー】
第2章 第二章 ただの船員…の、はず。
「え…?」
「はっ、てめェが逃げるからだ。簡単には逃がさねェよ。」
ローは意地悪な笑みを浮かべてこちらを見つめる。
「〜〜っ、『アビリティ』!!」
「!?」
彼女がそう叫ぶと、左目に不思議な光が宿った。
「『"room"、シャンブルズ』!!」
もう一度、ローの技名を叫ぶと彼女は腕から抜け出し、目に宿った不思議な光も消え去った。
「なっ、お前何をした…!?」
逃げ出した事への怒りではなく、自分の技を使用した事に驚いている様子のローは、腕の拘束からは逃れたが、然程離れた場所にいるわけではないラナの肩を掴んで、言葉を投げかける。
「ワケワケの実の能力だよ。…え、知らなかったの?」
知らなかったわけではない。だが、知識としては知っていても信じたくない事実だって人間にはある。
ローなどの能力者にとってのワケワケの実がコレだ。
「っ、勝手に取るんじゃねェ!この能力は、コラさんが残してくれた、コラさんのど……………ッ!!」
コラさんの努力の結晶、そう言おうとして口をつぐんだ。
彼女にコラさんの事を言っても、あの優しい眼差しも、投げかけてくれた言葉も、あの人がドジった時の思い出も、受けた愛も、伝わる訳ではない。
『おい、ロー。…愛してるぜ!』
不器用な笑顔で伝えてくれた愛の言葉は、今もローの胸の中で眠っている。だが、他の人に伝えても簡単に同情出来るような軽いものではない。
「……"コラさん"…。その人の事は、言いたくないならいいよ。でも…これは『私』の能力よ。必ずしも、あなたの能力という訳ではない。」
「…ハァ、そうかよ。で?耳飾りは?」
「………あ。」
海軍に見つかりかけた事で忘れていた。
しかし、大変なのはここからである。
彼女が求める耳飾りは、単なる装飾品が売られている店では置いていないのだ。
何しろ_______世界に一つしかないのだから。