その力、分けて貰えませんか?【ワンピース】【ロー】
第2章 第二章 ただの船員…の、はず。
だが、ラナを心配しているのはハートの海賊団の船員だけではなかった。
「ハァ…。全く。初心(うぶ)な俺は"あの体"に入れるべきじゃなかったか。だが、ローの前で技を発動してはな…。」
そう呟く銀髪の美少女。
だが、長い髪はバッサリ切られ、穏やかな海のような青い瞳は冷酷さが秘められていた。
気のせいか、若干目がつり上がっている気がする。
「……本体、戻っていいか?そのままだと街中でローに襲われる。」
(うん、了解した。何か情報は得られた?)
「…バゼルダの野郎の情報は、かなり。ま、細かい事はくっついてからな。情報はお前の脳に送り込んでやるから。」
(そう、よかった。ありがとね。)
「いや、偵察くらい俺がやるよ。拷問だのなんだのは優しいお前には無理だ。"分離"して、俺が担当した方がいい。」
(…ごめんね。)
「いや。…それじゃ、戻るぞ。ローが隣にいるから、極力姿が見えないように…な。」
(うん。)
彼女は、長髪の銀髪の少女の分離体のようだ。…しかし、悪魔の実の能力のようだが。
短髪の銀髪の少女がぬるりとローと長髪の銀髪の少女の間に滑り込み、一瞬にして姿が消えた。
「…?オイ、今、何か気配が感じられたんだが。何かお前も見なかったか?」
(…!ロー、鋭い…ッ。誤魔化せるかな…。)
「わ、私は、何も見なかったよ?気のせいじゃないかな…?」
「そうか…?そうか…。」
「うんうん。」
「ならいい。で、次は何を買う。」
「…えっ?」
「…は?」
「…えっと〜…。」
「あ、上着がねェじゃねェか。季節それぞれの島があるから、カーディガンだのコートだのは買っといた方がいいぞ。」
これは本当だと思う。春島や秋島ではカーディガンがいるし、秋島や冬島ではダウンコートがいると思う。
「えっと、それじゃあ、買いに行っても…。」
「いいぞ。あとは何が欲しい?」
「…欲しい、物…。」
「お前だって年頃の女だ。欲しい装飾品の一つや二つあるんじゃないか?」
「え、いや、そんな高価な物頂けません…!」
「あァ?別に俺達からしちゃ、そんな高くもねェよ。」
「じゃあ、…耳飾り…。」
「何か言ったか?」
「み、耳飾りが、欲しいです…。いつも付けていた物を紛失してしまって…!」
「そうか。ならそれも買いに行こう。」
ローはそれだけ言い、ラナの腕を掴んで歩き出した。
