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日の守護者【鬼滅の刃】

第9章 遊郭前編


「ちょいとそこの男前さん、うちに寄ってかない?」
「うちにもいっぱいかわえー子おるよ」
「こっちに来なよ」

そんな声に一切耳を貸さない男。
名前は遊郭の街を目当ての店へと急いでいた。


ーー


時は数刻前に遡る。


紺色の着流しに着替え、胸元を少し緩めたら、高い位置で縛ってあった髪を下の方に縛り直し、前髪をかきあげる。
花街に合う様に変装した名前を見て宇髄は口を鳴らした。



「俺より男前じゃねーか。よく今まで女が寄り付かなかったな」
『まぁ、剣術一本だったんで』



小さい頃から女性にはあまり興味が無い上に疎かったため、遊郭に行く事はもちろん恋愛も記憶にある限りした事がなかった名前は苦笑いを浮かべた。
胸元をはだけさせた格好は、傍から見れば花街に行き慣れた男そのものだった。


「まずは花魁に話を聞くのが一番だな」
『花魁はその店の事を良く知っていますしね』
「惚れてもらえりゃ口も軽くなるだろうよ」


確かに宇髄の言う通りなのだが。



『そうすぐに花魁と話せる訳じゃないですよね』


流石の名前も一日目で花魁に会えるとは思っていない。
遊郭は金を落とし豪快、派手に遊ぶ所だ。



「それは心配要らない。金はある」



心配する名前を他所に宇髄は名前の前に産屋敷から託されたであろう大量の札束を置きニヤリと笑った。



ーー



変装をした名前は遊び人にしては落ちついている雰囲気の男のようだ。
しかしそれが逆に色っぽく、皆の注目を集める事となった。



張見世をしている遊女達は名前が前を通ると目を輝かせて客引きをしている。

すごく見られている。
しかし、名前はその視線を無視してある店の前に来ていた。

ときと屋。


遊郭一の花魁が居るという店だ。
そこには宇髄の嫁の一人である須磨が潜入しているという。
名前はまずはその店から探る事にした。

『女将さん』

ときと屋の暖簾をくぐり女将であろう女性に声を掛ける。

「は、はい……いらっしゃい」

女将は名前の顔を見ると途端に顔を赤くした。
それを気にかける事無く名前は女将の手に一般人なら一年は遊んで暮らせそうな額の札束を握らせた。


『ここ一番の花魁に会わせてくれるかな』
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