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日の守護者【鬼滅の刃】

第9章 遊郭前編


日が落ち、街に灯りが灯る。
その中でも一際明るく、そして、色と欲にまみれた街。



吉原、遊郭。



男と女の見栄と欲。
愛憎渦巻く夜の街。

朱の灯りは女のうなじを染め、艶やかな唇を滑らせる。



ーー



『説明をしてもらいたいんですが』



遊郭の近くにある藤の花の家に来た宇髄と名前。
何の説明もなくそこへ連れられて来た名前は大きく息を吐き宇髄を見た。



「まぁ落ち着け。ちょいと任務に協力してもらいたいんだ。派手にな」
『花街が近くにあるというという事は、そこに鬼がいると言う事ですか』
「そうだ。しばらく前から俺の嫁が怪しい店の遊女として潜入している」


宇髄の嫁の話は聞いたことがある。
三人居て、皆くノ一であり、宇髄の任務の手伝いをしている。


宇髄は懐から遊郭の地図を出すと名前にそれを見せた。
地図には三つ、赤い丸が記されている。



「ときと屋、荻本屋、京極屋の三つが匂う。嫁が潜入したのもそこだ」
『ここまで絞れているのに尻尾が掴めないということは……』


名前は宇髄を見る。
宇髄は言いたい事が分かったようで、小さく頷く。


「ああ。おそらく十二鬼月がいる可能性がある」



宇髄の言葉に緊張が走る。
今までも十二鬼月とは対峙してきたが、もしそれが上弦だった場合は一人では倒せるか分からない。


「今のところ上弦の可能性は少ないと見ているが、それでも鬼の特定には未だ至ってない。そこでだ」



宇髄はそこまで言うと部屋の端にあった家の主人が用意してあったであろう箱から着流しを取り出し名前の前においた。




『なんですかこれ』
「着流しだ」
『それは分かってます』
「名前には客としてこの店に潜入してもらう」



名前は目を点にした。




『何故……俺が』
「腕の傷、痛むんだろ。お館様の指示だ。戦闘にはなる可能性が無いわけじゃねぇが、しばらくは養生しながら任務に励め」



おそらくしのぶが産屋敷へと鴉を送ったのだろう。
戦闘中に傷が痛み出しては命取りになりかねない。
産屋敷が宇髄へと指示を出したのだろう。



「それにお前、まぁ俺様程じゃねぇが、美形だしな」
『へ……』
「頑張って花魁に相手してもらえるように貢ぐようにな」


宇髄は口角を吊り上げた。
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